現状の企業は、概して一般に企業継続のみを追求し、成果物に対する完成度などどうでもいいと考える企業が増えてきたような気がする。
会社は、長期継続すること自体が非常に難しく、毎年11万件以上が起業されているが、10年後に継続できている企業は、わずか6%程度というから驚きである。
日本は、1945年の第二次世界大戦の敗戦後、日本の素晴らしき精神性は大きく捻じ曲げられ、さらに1990年のバブル経済の崩壊によりすべての物が変質し、さらにゆとり教育なるものが影響し現在に至っている。
歴史の流れによる必然性やデフレ経済の長期化による影響は否めないが、本質を逸脱し、表層雪崩のように非常に速いスピードで時代が変遷してしまった。
私は、この30年間以上、ブライダル業界に身を投じているが、老害でこんなことを言っていると言ってしまえばすべて片付いてしまうのかもしれないが、結婚ビジネスとしては、非常に嘆かわしい事態となってしまっていると感じている。
ブライダルは、人の想いによって動いてきた過去がある。
この人の想いは、ブライダルだけじゃなく、様々なモノづくりの国、日本の根底を形成するものであると思う。
ブライダル業界は、1997年からブライダル業界にとっては新しい会場カテゴリーであるゲストハウスが猛威を振るい始め、わずか10年間で実施婚礼の20%以上のシェアを獲得した。
この新カテゴリーを起業した人たちには、やはり当時のブライダルに満足しない想いがあったのだと思うが、そのことに相まって、ビジネス面で利益性が高いことが、ここまでのシェアの獲得を実現したのである。
しかし、1997年と言えば、バブル崩壊7年後、そろそろどの企業にもバブル崩壊の波が津波のように到達する頃であったが、その3年後、様々なことで世界中をにぎわせた西暦2000年、ミレニアムを迎えた。この年の翌年の婚姻組数は、約80万組であり、ブライダルでは、日本最後の隆盛期を形成したのである。この隆盛期を形成できた理由は、まさに団塊世代ジュニアの結婚適齢期とミレニアム婚が重なったからである。その勢いはすさまじく、ゲストハウスは需要が高まり、次々と新会場が、あれよあれよという間に20%以上のシェアを占めるようになったのである。
しかし、2002年からは、婚姻件数は大きく減少し始めるが、追い打ちをかけるような国勢調査の結果が、2005に発表された。当時の発表では、なんと披露宴を従来のように会場で行っている人が、婚姻数の50%しかいないという悲惨な発表であった。
この状況は、現在も大きく変化していないようだが、まさにデフレ経済の長期化による、所得低迷の結果である。
このような状況で、20代前後のウエディングプランナーを大量に輩出しすることになるが、この年齢で、結婚という人生最大の通過儀礼を満足にプロデュースするだけの能力や知識は到底乏しい。新郎新婦と同じ目線、友達感覚の接客など、非常に奇異な表向きの評判が定番化していったが、350万円の商品を扱うのに、同じ目線や友達感覚など失礼極まりない発想であったと思う。実際のところは、利益追求による人件費の削減が大きな理由である。もし、同じ目線や友達感覚がいいと本気で考えていた経営者がいたとすれば、あまりにも幼稚な発想だと思うし、経営者の価値は全くないと思う。
こうした人材が氾濫すると、世間では「それが当たり前」という状況になり、そうした状況が続くと消費者も、どこにも苦情は言えないし、そうしたクォリティに納得せざるを得ない状況になる。ブライダルが、消費者にとって怖いところは、心の奥底に潜む虚栄心と自分の判断を失敗と認めたくない成功者意識である。だからこそ、こんなにもブラックで詐欺まがいの会場があっても、自分達の言動を美化してしまうので、問題として大きくなることが比較的少ないのである。
このような状況で、お客様が心から満足していると考えることは、非常に難しく、心あるウエディングプランナーは、会場から離れるという結果を招いた。それでもこの事情を知ってか知らずか、「今の人材は長続きしない」などと、平気で言ってのける経営者もいるが、言語道断である。この10年間にはさらにブラック度が増し、今やウエディングプランナーに想いをもってなりたいという人は少ないだろう。
しかし、こうした会場の惨状に嫌気をさして会場を離れたプランナーの中には、確固たる想いをもって、ブライダルを愛してやまない人たちがいまだかつているという現実である。そういう人たちは、スキルも知識も比較的高く、会場という組織における勤務経験もあるので、会場にもお客様にも非常にメリットが高い。
しかし、彼女たちはフリーランスがゆえに、自分達を売り出すすべを知らない人が殆どである。そうした人たちを会員に持つIWPA国際ウエディングプランナー協会は、全国に100名以上の人材を有する。IWPA国際ウエディングプランナー協会の会員の条件は、日本資格(又は内閣府認可法人一般社団法人 職業技能振興会主宰 ウエディングプランナー資格1級)試験に合格し、かつ3年以上の会場勤務経験を持つこととしている。その中には、その上位資格として、英国資格(英国国家認定資格)を含むコンサルタント資格を有する者も70名以上存在する。ちなみに、日本資格は現役会場プランナーでも、2~3割は不合格となる比較的難易度が高い資格試験である。
全国平均360万円の費用を有する結婚式にアレも出来ないこれもだめですじゃ、お客様である新郎新婦の怒りがこみ上げるのもむしろ自然ではないか。知識が豊富でスキルが十分だと、色々な場面にも柔軟的に対応でき、このことは、一生に一度の結婚式をプロデュースするには最も重要な必要条件と言える。
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