日本は、世界に類を見ないパラダイムシフトに見舞われている。パラダイムシフトとは、劇的変化を言うが、まさに日本は世界で唯一、初めて労働人口とGDPの関係でこのパラダイムシフトに突入したのだ。
何が劇的変化なのかというと、現在団塊世代と言われる昭和22年から昭和24年までに生まれた子供は、わずか3年間で、約800万人で、この800万人(実際にはこの年齢の男性だけだとしても400万人)がこの3年間で労働市場から消えたのだ。しかし、現在の出生数は、年間約100万人。世界ダントツの老齢国、長寿国である日本は、長寿がゆえ国内で消費されるものは、若干の減少はあるものの、そんなに極端に減らない。つまり、国内消費はにさほど変化はない。しかし、労働人口だけは今のままだと物凄い勢いで減少し続ける。
そうなると、企業は、労働力の確保が必要となるが、働く絶対数が激減するので「人がいない」現象が起きる。私が運営するIWPA国際ウエディングプランナー協会の関係で、お客様とお話しする機会は多いが、必ず話題に上るのが、人材不足だ。実際に労働人口は、劇的に減少している事実はあり、これからの企業の施策としては、この人材確保が注目される。
こうしたお話の結果、事実、一昨年から複数の会場に、IWPA国際ウエディングプランナー協会のコンサルタントと言われる3年以上の実務経験を有する自営業者を10数名もウエディング会場のプランナーとして送り込んでいる。IWPA国際ウエディングプランナー協会のコンサルタントは、平均年齢が40歳近いフリーランスの集団だ。
産業の70%はサービス業という日本だが、このサービス業を機械化することは難しく、そのソリューションの選択肢は、2つしかない。1つは、外国人労働者の雇用、もう一つは、無期限雇用と生産効率のアップの教育を施すことである。以前に何度か私が紹介しているが、日本最大の売上を誇る家具のニトリの10倍の売上を誇る欧州家具のイケヤは、既にアルバイト契約を3~6ヶ月だったものを無期限契約に変更しているし、今日もニュースで大和ハウスが、無期限雇用を発表した。この施策は、まさに日本人労働者の確保の行動だ。
人生85年の時代に、60歳定年延長65歳という雇用体系は、一昔まえの雇用スタイルであり、何十年も熟練したスキルを持った人を定年という名のもとに退職させるのは、今や企業の損失と考えるべきだ。教育も出来ない企業なら、なおさらのこと、今後の高齢者雇用は企業にとって重要な鍵になる。
いっぽう、高齢者雇用は、ある種手っ取り早いソリューションかもしれないが、本当に確保しなければならないのは、将来の担い手である若い人材である。少なからず、20年以上続いたデフレ経済の影響で、若者は、経済の低迷による苦汁を強いられ、さとり世代という分かった風の世代を作り上げてしまった。
このような世代でも、いやこのような世代だからこそ、本人もその親も安定を求めているのは事実で、終身雇用さらにその上を行く無期限雇用となると、悟った風の世代の若者も、企業にいい意味で安らぎを求めるようになり、無期限雇用が定着すると日本の経済も安定するし、パラダイムシフトのソリューションも一気に出来てしまうと思う。
しかし、気をつけなければならないこともあり、私も50歳半ばを過ぎるが、この年齢ですら物忘れが多く、現在は自営業だからごまかしもきくが、これが会社人だとかなりの不安を覚えてしまうのも事実だ。そう思って、先輩や元同僚、元後輩などに、この辺りの現実もきいてみたが、会社人とて、私の現状とそうは変わらないことがわかり少し安心したが、仕事にとって記憶力は重要で、この記憶力に関わる仕事は、高齢者には少し厳しいのかも知れない。
基本的には、需要と供給のバランスで成り立つのが社会で、雇用・人財の現状において敢えて言うならば、企業にとっての需要は人財で、供給は無期限雇用ではないかと思う。
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