連載記事2016年9-1 コンプレインがなぜ起きるか(コンプレイン抑制の方法とは)

連載記事

コンプレインがなぜ起きるか

(コンプレイン抑制の方法とは)

コンプレインとは

一般的には、あまり聞きなれない言葉であるが、ウエディング業界ではコンプレという日常的に使う言葉がある。正式には、コンプレイン(Complain)だが、業務には常に付きまとう嫌な言葉である。

しかし、この嫌な言葉もその殆どが必然的であり明確な因果関係の基に成り立っている。

コンプレインは、なるべくして起こることがほとんどである。自然災害による被害は完全な不可抗力であり、この場合は殆どコンプレインになることはない。以前に発生した事例を見ていくと、披露宴の最中に突然スプリンクラーが発砲し、数トンの水が披露宴会場に流れ出たという事故があった。原因を探ると熱量の高い光源のピンスポットが、1メートル先のスプリンクラーのヘッドに向き点灯し続けた結果、スプリンクラーヘッドの温度が上昇し発砲したもので、明らかに人災である。こうなるとコンプレインになるのは必至で大変な金額の補償も賠償も発生した。こうした事例は特殊であるが、日常的には数多くのコンプレインが発生している。

コンプレインはなぜ起きるか?

では、コンプレインはなぜそんなに日常的に起きるのだろうか?それは根本的に確固たる理由があるからだ。

一つは、挙式・披露宴の性格的なもので、今では状況も大きく変わっているものの、挙式・披露宴には「一生に一度」というキワードがいまだ生きている。更に3時間程度で全国平均350万円もの費用がかかり、後に物が残らない消費だからだ。例えば350万円の新車を購入しても、乗り潰そうと思えば15年は持つだろう。しかし、挙式披露宴はたったの3時間で完結する商品である。挙式・披露宴の性格から判断するとこの二つがコンプレインに導く最大の理由であろう。

一方、会場側の理由としてあげられるのは、会場である企業側の利益が大きくかかわっており、特に現代は企業の考え方に伴うウエディングプランナーの思考やスキルの問題が大きい。プランナーのあり方も会場のカテゴリーによって2つに大別される。その一方のカテゴリーは、その目的や現状の弊害がコンプレインの性格そのものを大きく変えた現実はあるが、短期間で成長を遂げたカテゴリーで、原因を明確にするにはどうしても本質部分に言及する必要がある。繰り返しになってしまうが簡単に挙式・披露宴の意味を振り返る。

結婚式には様々な意味があるが、重要なのは新郎新婦にとって人生最大の通過儀礼であることだろう。通過儀礼が新郎新婦にとって重要である根拠を改めて明確にしなければならい。

通過儀礼の意味とは

通過儀礼は、その経験をすることで、より社会人として大きく成長し、大人として社会に通用する常識を学ぶ場であることだ。結婚によって最小単位の社会をつくり、その小さな社会の中でやがて増えるであろう家族に、常識を伝えて行かなければならないのだ。

本来、結婚式を行うことのこうした意味は、新郎新婦もウエディングプランナーも認識していることは少ない。

こうしたことの伝承が人と人との和を作る基本だし、こうした和を作るための基本的な知識を養うことも通過儀礼としての結婚式の大きな役割であるはずだ。

しかし、現状を見た時にこの役割を全うできる状況は、一部のカテゴリーにしか存在していないのが現実である。私の知りうる限りこうした会場ではコンプレインが極端に少ない。

 

 

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