国土交通省の白書によると、年収1000万円未満の階層では、年収が400万円以上になると、それに比例して既婚率が上がる傾向にある。しかし、20歳代、30歳代の男性では、年収1000万円以上になると既婚率が下がることが明らかになっており、この傾向は、女性でも同様に見られるという。
同白書によると、未婚率そのものは、1970年代後半から上昇し、2010年には、男性は25~29歳で71.8%、30~34歳で47.3%、35~39歳で35.6%、女性は25~29歳で60.3%、30~34歳で34.5%、35~39歳で23.1%となっている。
50歳時点で一度も結婚をしたことのない人の割合を示す生涯未婚率も上昇傾向にあり、特に1990年代以降に大きく上昇し、2010年には男性が20.1%、女性は10.6%となったが、今後更に上昇するものと考えられる。
国交省は「結婚による追加的な経済的メリットを感じにくいことなどが理由と考えられる」としているが、「メリットがないと結婚しない」という状況をどう理解したらいいのだろう。
同白書によれば、交際経験自体も無い人の割合は、年収1000万円以上になると、2.3%と極端に低くなる。年収1000万円台で、婚約はしたが結婚にいたらなかった経験を持つ30代の男性は、「一回話が潰れてから、結婚する気はもうなくなった。時間もお金も自由になるし、食べるものも外食で何とかなる。特に生活には困ることもないし、家族や子供が欲しいとは思わなくなった。」という。
この男性は、将来、定年を待たず早期に会社を辞めて悠々自適な生活を送りたいのだという。彼にとって、非婚は、家庭を維持するのに必要なお金と時間を自分のために自由に使える良い選択肢とも言えなくはない。
年収が多いほどライフスタイルが自由になる、というまさに当然の結果が調査で改めて明らかになったとも言えよう。
一方で、子供を大学まで入れることが親の義務という従来の考え方をする人にとって、子供をもうけるということは、ある程度以上の安定した収入が無ければ大きな負担となるのは自明で、そのために最初からあきらめてしまう人も多い。
いずれにしても、現代は、子供をもうけること以前に、結婚すること自体躊躇してしまうような社会の状況だ。
この、非婚化・少子化は、我々ブライダル業界にとっても、また社会全体にとっても、解決しなければならない重要な課題である。
私も、高度成長期からバブル崩壊以前の安定成長期を経験してきた者として、あの頃の社会の活力を、今の若者に取り戻してもらうことはできないのかと思う。
私自身の経験で言うと、本来、仕事は死ぬ気でやらないと成就しないし、つまらない。
「私は自分の商品を良いと思うので、売れるはずなのに・・・」とか、「ホームページがきれいにできたので、問合せがどんどん来るはずなのに」といった相談を若い人から受けるのだが、世の中そんなに甘くは無い。よほど突出した技術を持っているか、棚から牡丹餅的な強運の持ち主でない限り、待っているだけで安定収入を得ることなど不可能である。
例えば、ウェディングプランナーの世界をみても、華やかに見える世界がゆえに、人に見せないところで死ぬ気で仕事をしている人は、フリーランスウェディングプランナーでも年収が1000万円を超えている。プランナーは激務だと世の中で言われているが、彼らの仕事に対する打ち込み方はサラリーマンとは比べ物にならない。
今の、低収入層がボリュームゾーンである現実を見るにつけ、仕事に対する取り組み方を変えなければ道は拓けない、と叱咤激励したくなるのは私だけではないだろう。この時代でも「やればできる」現実もあるのだ。
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