連載原稿30 区役所庁舎や古民家に価値を見出す若者たち

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日本のブライダルは、世界のウエディングの中でも特殊な形態で発展を遂げてきた。それは、所謂「装置産業」、つまり、大規模な設備・施設があることによって生産される産業、あるいは十分な設備を整えればそれだけで一定の成果・収益が期待できると見られる産業であり、日本では、挙式・披露宴と言えば、ホテルや結婚式場などを利用するもの、というのがここ数十年の常識であった。
しかし、私共で運営するIWPA国際ウェディングプランナー協会や所属フリーランスウェディングプランナーに対する問合せを見ていると、最近、従来では考えられなかったようなリクエストが急激に増えている。

郊外へ行って結婚式を挙げたい、文化財で行いたい、キャンプ場で、など自然の中や屋外で行うナチュラルな披露宴にあこがれ、また、古き良きものに本物感、安らぎなどを求めて、自分たちがその価値に共感できる古民家や歴史的建造物での挙式・披露宴を希望する新郎新婦は、確実に増えているのである。
旅館やペンションを借り切って出席者全員が宿泊し、時間の制約なく二日間を丸ごとプランニングするような、私共が「宿婚(やどこん)」と呼んでいる婚礼も、全国各地で少しずつ増えてきた。

一方、行政も結婚式というものに興味を示し、庁舎を使った人前式を奨励する役所も増えてきた。
実際、IWPA国際ウェディングプランナー協会でも、目黒区役所の入札に通り、9月1日から、目黒区役所の庁舎を利用した結婚式を行えるようになったが、一般の方々の関心はとても高く、目黒区役所がニュースリリースをした数日後から当協会に問合せを頂いている。
実は、欧米では、結婚の法的要件を満たすためのCIVIL WEDDING(シヴィル ウェディング)が実際に役所で行われており、英国では、4分の1ものカップルが、役所内で登記官が司式する挙式を選んでいる。

少子化、婚姻数の減少、そしてこのような顧客の志向の変化があるにも関わらず、ここ15年くらいで、挙式・披露宴を行う会場数は、全国で25パーセント近くのシェアを占めるゲストハウスも含め、かなり増加している。婚礼会場での婚礼件数は、もう余程思いきった手を打たない限り、再び増加に転じるのは難しいと考えざるを得ない状況なのである。
婚礼件数が下がると、少ないスタッフで運営しなければならない。しかし、件数にもよるが、どんな仕事でも、量に比例して増減する仕事と、量に関係なく固定的・必須的に行わなければならない仕事があるので、婚礼件数が、半減したからと言って、半分のスタッフで良いかというと、そうはならない。

そうすると、当然、人件費比率が高くなり、人件費が経営を圧迫することは避けられない。これは、誰しも予想できることではあるが、それではこの部分をどのように解決すればよいのだろうか。
結論は、やはりソフトウエアによる業務の効率化であろう。

IWAP国際ウェディングプランナー協会では、以前からこうした想定も視野に入れており、その対策として、人件費削減から、コンプレイン防止、新郎新婦に対する直接的ケアによる満足度アップまで備えたソフトウエアを完成している。

このソフトウエアは、従来にはない効率的な仕組みを有することが証明され、このたび特許権を取得した。初期投資も殆どかけないで導入できるメリットも加え、現在のブライダル業界を助けるツールとなれば幸いと考えている。

このような混迷の時代がいつまで続くか分からないが、なんとか生きながらえる方策を立て、どんな些細な可能性も見逃さずに取り入れて、再生のチャンスを伺うしかない。同時に、次世代の結婚予備軍に対し、結婚式の重要性を全力で啓蒙していかなければ、ブライダル業界の未来はないであろう。

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