連載記事31 今こそ、資格認定制度の承知を!

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WEB時代になってインターネットが日常的に使用されるようになり、自己アピールやコマーシャルの方法などが従前と比べて大きく変化している。パソコンがなくてもスマートフォンで事足りる時代になり、同時に、ブログやSNSを使い、誰でも手軽に情報発信が出来るようになった。個人や小規模なビジネスであっても、情報を多くの人に自由に伝えることが可能な時代になったのである。

しかし一方で、その情報の信憑性が疑われる事例も少なくない。
正しい情報を選別してリリースする仕組みはなく、誤情報を正す人もいない。言うなれば「無法地帯」である。
特に、個人のリリースする情報は、「責任」というものを問われることが全くないことで「言った者勝ち」という状況も多く見受けられる。上場企業であれば社会的責任を問われるが、個人ともなれば、責任という認識すらないというのが現状である。
更に、インターネット上では、薄っぺらな内容をいかようにでも美しく飾ることが簡単にできるということが相まって、消費者にとって非常に危険な状況が蔓延している。

そんな中で、ブライダルマーケットでも、最近「責任」の希薄な情報発信が目立ち始めている。
趣味を延長した程度の稚拙な技術しか持たないビデオ制作者、現場経験の全く無いフラワーデザイナー、結婚式というものの本質を理解していないウエディングデザイナーなど中には、かなりひどい実態のものもある。

私は、ウエディングプランナーにもその技量を認定する仕組みが必要と考え、2006年から私の運営するIWPA国際ウエディングプランナー協会で、プランナーの資格制度を構築してきた。日本の会場におけるオペレーションマニュアル及び接客技術を基本とする「日本資格」と、結婚式に携わるための人間教育と営業力強化のために本質や薀蓄を学ぶ「英国国家認定資格」の2つの資格である。我々は、フリーランスウエディングプランナーの独立から運営に至る教育と支援を行っているが、フリーランスプランナーに関しては、上記2つの資格取得に加えて、3年以上の実務経験を有し、IWPA認定コンサルタント資格試験に合格した者だけを認定者として認めており、認定会員は協会と様々に連携を取りながら活動している。

この認定会員が承った婚礼に、立て続けに2件、大変なものがあった。当初、新郎新婦は、当協会の会員ではない「自称フリーランスプランナー」に依頼したのだが、契約後、招待状の時期になってから突然「私たちはご両家のプロデュースを行うことができなくなりました」という一方的なメールが送り付けられ、困った新郎新婦が当協会のプランナーに急遽担当依頼してきたというのである。また、以前には、プロデュース会社に依頼しているのに何度連絡しても担当者不在で連絡が取れなくなり、途方に暮れた新郎新婦が当協会へ駈け込んできたという事例もあった。内容的に若干難易度の高い婚礼であり、手に余ったというのがその理由と思われる。

不動産でも旅行でも、ライセンスがないと販売できない商品が多い中、平均費用350万円以上で一生に一度の人生最大の通過儀礼である結婚式の重要性を考えると、プロとしての知識と経験と見識のない者が請け負うことは、常識としてありえないことであり、いい加減な自称プランナーの存在は、お客様に最善を尽くしている真っ当なウエディングプランナーにとっては迷惑千万な話である。

自由化自体は止められない以上、新郎新婦、そして、真剣に仕事をしている実力あるフリーランスプランナーと協力して下さる会場を守るためには、資格認定制度の周知に努めるとともに、認定者を取りまとめる協会としての責任を果たしていかねばならないと考えている。

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