注目されてきたフリーランスウエディングプランナー、だが? PartⅡ
実名は避けるが、実際に行われている現実をご紹介しよう。
事例1. フリーランス紹介のwebポータルサイトに、未承認でプランナーの個人情報まで掲載されてしまい、そのプランナーのプロデュースしたお客様の写真までもが勝手にホームページからコピペされ、掲載されてしまった。
※フリーランスはまだしも、プロデュースしたお客様の情報も無断で掲載されてしまったことは完全な違法行為だ。
事例2. 事例1と同じ状況で、その方を信頼しているフリーランスが、そのwebサイトから掲載するよう誘われたので、本人に確認したら全く寝耳に水の話で、勝手に掲載されていたことが判明した。
※問題なのは、掲載勧誘したのは法務従事者であることだ。
事例3. IWPAに問い合わせてきたお客様に、あるフリーランスプランナーを紹介したところ、このフリーランスはNGといわれた。理由を尋ねると、そのフリーランスが掲載されているwebサイトが、お客様からみてブライダルのサイトとしては不適当と判断され、そのようなサイトに掲載されているプランナーには頼みたくないとのことだった。
※無料サイトだからと言って掲載した結果、ビジネス上機会損失をしてしまった。フリーランスウエディングプランナーにとっての婚礼1件は大きな収入源だ。それを、怪しい無料サイトに掲載したがために大切なビジネスチャンスを失ってしまった。
実際このようなサイトは、掲載無料というのが常識的だが、掲載無料でもマイナス要素がなければ問題ないが、機会損失をしてしまうようなことにはなってはいけない。さらに気をつけなければならないのは、その契約内容だ。上記の実例の企業の実際の契約内容をみると、とんでもない内容になっている。例えば、この企業から新郎新婦を紹介されて、担当し、いざ紹介手数料を支払う段階になって初めて気づくのかどうか、なんと、紹介手数料が売上の10%だという。勿論、この手数料率は事前に伝えられているのだが、その時点でどういう意味なのか認識していないのだと思われる。実際、フリーランスウエディングプランナーのプロデュース料は、東京の高い人でも30万円が限度だ。フリーランスは、その他の商品の販売手数料も収入にはなるが、今の時代、それは以前のようには期待できない。例えば、総売り上げが500万円だった場合は、プランナーは新郎新婦を紹介してもらった会社に、10%の50万円を支払わなければならないのだ。ここまで話せばこれ以上の説明は必要ないと思う。
この類の事例は、非常に多く、昨年から問題になっているDeNAのキュレーションサイト問題そのものだ。また、問題なのは、実際に前述したサイト運営の会社に法務従事者が顧問として存在しており、その者が実際に勧誘行為をしていることが大きな問題なのだ。法務従事者に誘われれば、ある程度質の問題は保証されると考えるのが普通だろう。
現在ブライダルにおいては、旅行については旅行業法や不動産取引には宅地建物取引業法があるが、ブライダルには特化した法律はない。最も近い法律が消費者契約法だ。当たり前だが、この法律は消費者を守る法律で、特に第4条2項は、事業者と消費者との問題を起こさないために制定されたものだが、法務従事者からすれば、フリーランスは法律リテラシーの全くない消費者と同様である。そこを逆手に取った勧誘行為は、法務従事者として許されるものではない。
本来、守るべき人たちを守らずして、自分のビジネスに利用するような法務従事者が存在することは、今も昔も変わらぬ現実であるが、騙されないように策を講じるのが本来の方法ではなく、騙す方を取り締まることが優先される本質的事柄だと思う。そうは言っても現実としては、騙されないためにどうするかを考えなければならない。
しかし、悲しいかな、騙された方も騙されたことに気づかない現実や、騙されてもなお同じ人に騙され続けている現実もあることは事実だ。そういう人に、あなたは騙されていると言ったとしても、懐疑的にみられるだけなので、そういう人は、我々も助けたいのに助けることが出来ず、ただただ本人が気づくのを待つしかないのだ。しかし、そういう人に限って、大変残念なことだが知らないうちに業界から姿を消してしまう。
ビジネス市場が大きくなれば、比例して問題も増えてくる。我々IWPAは、フリーランスを真剣にサポートしている協会であり、IWPAを経由してビジネスを行うためには、IWPAの基本的なコンサルタントという資格を有していることが条件となる。このことは大雑把にいうと日本資格、英国資格、論文試験を取得し、かつ会場で3年以上の実務経験があることがこの資格の内容だ。
こうした条件下で、IWPAを経由した取引の場合は、パートナー企業に対して、プランナーのキャッシュフローがスムースに運営出来るように、IWPAでは、ある程度立替払いもしているので、パートナー企業の売掛の未回収などは皆無だ。
ところが、少し前から、フリーランスと称するプランナーの未払いが目立つようになってきた。勿論IWPAの会員ではないが、実際に、ある会場では、フリーランスウエディングプランナーの未払いが問題になり、直接フリーランスと取引をしないという会場が、IWPAのウエディングプランナーなら安心と、契約を締結している会場も少なくない。
フリーランスウエディングプランナーは、知識や経験がなくても、明日から私はフリーランスウエディングプランナーですと宣言してしまえば、誰でもなれてしまう。特に、花屋さんだったり、司会者さんだったりする方がフリーランスウエディングプランナーになるケースを多く見かけるが、実は、プランナー業務と司会や装花の業務は対極にあり、共通する部分は勿論あるが、本質的に全く違う業務と言っていい。
実は、この現実を会場は、認識していないケースが非常に多くなってしまったのである。プロフィットファーストは良くわかるが、ここ20年以上のウエディングビジネスが、ハード優先であった。しかし、ウエディングは新しモノ好きで、新しい会場しか潤沢にウエディングは受注できないという神話は崩れ、今では新しいことへの魅力が従来ほど効力がなくなっている。それは、古民家ウエディングが人気であることなど見ると明らかだ。
ただ、この志向変化は、バブル崩壊後に神前式が激減し、キリスト教が増えた背景と同様に、本当の意味の魅力的要素の変化ではなく、経済的な影響力だと考えることもできる。
現代は、ブライダル業界に限った事ではないと思うが、人を育てることが出来ない状況になっており、集客自体がハードへの依存度が高くなっているが、まわりまわって、こうした状況自体が、ブライダル市場をシュリンクさせてしまう原因になってしまっている。先日も、ある方とコミュニケーションしていて、老舗の大型ホテルの宴会のお偉いさんが「ブライダルは、プロデュース会社に任せるのが賢明、やはり餅屋は餅屋だからね」と言ったそうだ。餅屋は、ホテルだということを理解していないようだ。それにもまして情けないのは、日本のウエディングはホテルが作ってきたのに、その本家本元が意地もプライドも失ってしまったことだ。もし、私がそのホテルの総支配人だったら、その発言をした人は、間違いなくその場で職を失うことになることは間違いないと思う。その理由は、意地やプライドではない、ビジネスプロフィットの観点からだということをあえて付け加えておく。
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